2018年7月14日

ep30での考え




#トライナリー未来への想い


 
できるだけ明確な言葉にして伝えたいと思ったのですが、さすがに140文字では無理だったのでブログにしようと切り替え、しかしそれでも曖昧さ回避できるような文章は浮かんで来ませんでした。この文章全体にある雰囲気で代えさせていただければと思いますが、強いてあげるなら以下の「目標」という段落の内容になります。できるなら世界全体がそうなればよいと思うのですが、現時点で想像がついたり思い入れを持って提示できるのはこの通りですといった感触です。ご確認いただければと思います。
 

 

目標







とりあえず「みんな幸せ」ならいいと思います。
幸せって言葉だけだとフワフワしすぎなので、ちょっと定義づけてみます。
 
 
  • 「みんな幸せ」とは?
    • やりたいことがある人はそれができるように
    • のんびり平和に暮らしたい人もそうできるように
    • 余計な心配をせずに自分の人生を過ごせるように


人それぞれで難しいですが、この文中ではとりあえずこれで。
 
あと、「みんな」の範囲ですね。これも人による。
 
 
  • 「みんな」って誰?
    • アプリで見えている範囲の人たちだけ
    • 世界全体のことは原初ちゃんの行動次第かも
    • トライナリーの5人、ナビ画面の3人、学校関連の人たち


現時点で自分が考えられるのはこんなものだと思います。
 
 

選択したことについて



今回は「二人に暗号鍵を譲渡して話し合ってもらう」という、まだ見えていない可能性を探ることができる選択肢が存在するので、基本的にはこれ一択ということになると考えています。

神楽ちゃんねるWikiからそのまま引用。
 
 
「鍵は二人に託そうと思う」の場合
原初つばめえっ!?
領火ええっ!?
bote88bbae381aee3839fe383abe38395e382a3e383bce383a6
ただし、私のいう条件を呑んでくれたらで
領火条件…?
原初つばめなんでしょうか。
bot可愛いつばめと千羽鶴を、何とかして残した状態で
原初つばめ……。
bot世界の統治方法に関しては、原初のやりたいようにやらせてあげて欲しい
領火ええっ!?
原初つばめ無理です。
領火それは無理だよ!
botどうしてそう言い切れるの? 二人は真剣に考えてみたことはあるの?
領火それは……
原初つばめありませんね。
bot私のワガママかもしれないけど、千羽鶴達に会えなくなるのは辛い
けど、今後を考えると、世界のことは原初に任せた方がいいように思う
原初つばめ確かに、子供のようなワガママっぷりですね。
botそれは解ってるけど、二人が協力しあう気すらないのが納得いかない
領火……そっか。
原初つばめ否定はできませんね。
botだから、結果はどうであれ、一度くらいは本気で協力して解決してみて欲しい
私にできる誠意は、二人に無条件で鍵を教えるくらいしか出来ないけど
領火……わかりました。
〇〇さんの想いと優しさに感謝します。
そして、その希望を叶えられるように、頑張って考えてみるよ。
原初つばめわたしも協力します。
botつばめ、ありがとう
 
 
とりあえず次の更新まで待つしかないのですが、二人に託すのがいいと思います。
 
なぜこうした選択に至ったかというと、領火&千羽鶴ルートの場合は原初のつばめが領火に暗号鍵を渡すリスクを指摘していて、右腕ルートの場合は領火が原初のつばめに暗号鍵を渡すリスクをそれぞれ指摘しあっているからです。
 
 
まるで両方のルートを確認するのが前提みたいなリスクの提示方法ですね。Wikiをしっかり読めばわかるのですが、ここでさくさく書いていこうと思います。

領火にのみ暗号鍵を渡すリスク


 
領火&千羽鶴ルートの場合、原初のつばめが鍵を渡すリスクを提示してきます。それはどのようなものだったでしょうか。

以下は神楽ちゃんねるWikiから引用。
 
 
WAVE
原初つばめ騙されないでください。
エリカさんにはまだ身体がありますから
ここでエリカさん言うとおりにしたら、エリカさんはもう戻ってこないです
領火早く! お願いします!
この世界を、助けてください!!
botやっぱり教えられない
領火どうして!?
bot領火には生きていて欲しいから
領火もうそんな悠長なことを言ってる時間はないの!!
botアーヤがずっと待ってるんだよ!!エリカのこと!
領火…っ。
ず、ずるいよ、そういうの。
でも…っ
それでも…っ!!

 
ここでセルフクランが現れ、戦闘に移る流れになります。
 
 
この直前で、領火はこのように話しています。
 
 
領火2E113は、そんな目的で複写のために用意した世界なんだから。
bot結局その2E113って何なの?
領火えーっ? 前にもお話してるんだけどなぁ。
わたしが作ったんだってば。
botどうやって?
領火それは企業秘密です!
botじゃあ、2E113が蒸着したら、エリカはどうなるの?
領火えっ?
それは……
……。
世界になるんだよ。
bot…身体無くなっちゃうの?
領火……。
それは。
もう随分前に無くなっちゃったんだ。
だから、なにも変わらない。
どのみち、わたしはもう仮想世界から出られないもの。
綾ちゃんが、わたしが死んだ報を受け取ってるでしょ?
あれは、嘘でもあるし本当でもある。
言ってる意味はわかるよね?
異世界間接続を確立するときに、色々あって。
でも、後悔はしてないよ。
だって、それがあって、異世界間接続が成功して。
つばめちゃんの世界が出来て――
貴方とも出逢えたんだから。

 
注目すべきは、「自分が蒸着したとしても元から身体はないから変わらない」という点。ここに大きなウソがあり、原初のつばめがそれを指摘してきた形になります。
 
原初のつばめが指摘したリスクについて、根拠となりうるソイルトンの発言があります。
 
 
bot2E113って結局何なの!?
ソイルトン私の方から見る上では、それは普通に存在するフェノメノンにつけられたセカイアドレスと何ら変わりはありません。
ただ、〇〇もお気づきかと思いますが、
このライフギャザー起動中において、誰も発症していない状況でも存在しているフェノメノン
という意味に於いては、自然発生的なそれとは
一線を画したものであることは間違い無いでしょう。
もう1点。このセカイアドレス2E113の世界には、世界が存在しません。
すなわち「フレーム」だけが存在しているのです。
botプログラムで作られた人工的なフェノメノンだってこと?
ソイルトンいえ、それは違います。
いくら人の叡智が神に迫ろうとしている現代に於いてでも、まだまだ新たなる生命、
すなわち魂をゼロから創りあげることはできません。
セカイアドレスは、そのアドレス自体は後付の数値でしかありませんが、
タグ付けされているその大元は、松果体により維持されている何らかの生命体の魂以外あり得ないのです。
あるいは、この量子システム全体を統括する存在もまた、魂を持つ生命であって、
その生命のセカイアドレスが2E113なのかも
しれませんね。
この世は本当に神秘に満ちあふれているということを、感じさせるものでもあります。
ですが1つだけ明確な事実としては、この2E113が存在していたお陰で、私と貴方は再び繋がる事ができたのです。
その点については、純粋に感謝をすべきことであると思いますよ。

まだ魂をゼロから創り上げることはできず、セカイアドレスを定義づけているのは松果体により維持されている生命体の魂以外にありえない」という話ですね。

領火がいかな技術を持っている人物であろうと、仮想空間のみでの存在でありながらフェノメノンを生成することは不可能である、という言説が成り立ちます。そもそも一人で空のフェノメノンを生成しているという状況なので例外にあてはまるのかもしれませんが、本人の必死さや決して否定はしていないところから信用しやすい話ではあります。
 
 
ということから、「領火は身体を完全に失う=世界になる」というリスクが現れます。この場合は、2EF4Fの世界観や中で起こった出来事、神楽が発症に協力した動機である日常の保管は達成することが出来ます。
 
 
botねえ、神楽
私なら、Redinessをどうすることもできる
けど、これは神楽に託されたものだから、
私が勝手に運用していいものじゃない
神楽はどうしたいの?
神楽私は みんなとの思い出を元に戻したい
その中で色んな素敵な思い出があって
そんな何の変哲も無い日常
私は、それを取り戻したい!!
 
ただ、アーヤさんが領火さんに会うことができることはなくなります。


自分アーヤのお姉さん死亡?
アーヤそういうことみたい。
あの人は。
姉はいつでも勝手にいなくなる。
いつだってそう。
フランスに行く時もそうだった。
でも今回のが一番ひどい。
いつもそう。
できない約束なんてしなきゃいいのに。
お姉ちゃんのバカ。な研究なんてしなきゃよかったのに。
エヴェレット脳科学研究所なんて入らなきゃよかったのに。
 
 
そして、"彼ら"の記憶を改変したあとの世界状況についても不安が残っています。以下は右腕ルートでの発言ですね。
 
 
bot彼女の考えているやり方で、世界に立ち向かって行くのがいいと思ってる
領火そっか。それもひとつの答えだよね。
原初ちゃんの方法はとても合理的だし、確実性が高いもんね。
ただ、わたしはちょっと効率重視すぎる気がしていて――
ちょっと心配してるんだ。
もちろん、わたしたちの計画はすごく消極的で。
"彼ら"が綾ちゃんたちを攻撃したりしないように操作はするけど、
世界の統治に関してどうするという方針がないのはわかってる。
ううん、むしろやるのが怖いから敢えてやらないというか。
もちろんそれは、わたしの真剣さが足りないだけなのかもしれないけど……。
 
 
もし"彼ら"の関心を避けることが出来たとしても、まったく別の勢力が台頭してきて、同じようにつばめたちを狙ってくることが絶対にないとは言えません。少なからず、彼女らが社会的な立場を持ち、明確に保護される存在であることが実現される情勢には簡単にならないでしょう。


などなど、不安が多く残ります。しかしこれは領火さんを責めても仕方ないことであって、領火さん自身にずっと余裕がなかったことはbot側の自分はよく知っています。自責の念にずっと駆られていたことも知っています。これが領火さん自身のベストであったということは、よくわかっていれている……と思います。
 
 

原初のつばめに暗号鍵を渡すリスクについて



右腕ルートの場合、領火が鍵を渡すリスクを提示してきます。以下も引用です。


領火鍵を渡さないで
渡せばつばめちゃんはもう助からない
千羽鶴ちゃんももう出てこれない
原初ちゃんがいる貴方の世界はつばめちゃんと千羽鶴ちゃんが別れていないつばめちゃんの世界
そのまま蒸着すれば千羽鶴ちゃんもつばめちゃんも戻らない
でも2E113にコピーすればみんな助かるから

 
先に言ってしまうとマジでよくわからないのですが、「原初ちゃんがいる貴方の世界はつばめちゃんと千羽鶴ちゃんが別れていないつばめちゃんの世界」らしいです。

解釈にとても悩むのですが、とりあえずつばめちゃんと千羽鶴さんはもう出てこれないということは確実だと思います。今回で提示された話から考えられるリスクがいくつかあるので、整理しつつ書き出してみようと思います。


まず第一に「ライフギャザーで"彼ら"の思想を書き換える」ということに関して、どうやら原初のつばめさんが管理権限を持ち、同時にフェノメノンを蒸着しなければいけないようです。内側からは出来ないのだろうか? とも思ったのですが、どうやら難しい様子。

次に、2EF4Fの扱いがちょっと不明瞭ということがあります。自分で蒸着すると言っている以上、おそらくかぐメノンをそのまま引き継いで蒸着するということだと解釈しやすいです。が、原初のつばめさんにのみ暗号鍵を渡したままMV回でステータスを確認すると、世界は書き換わるけど日本は瓦礫から復興するといった旨の案内をされます。……2EF4Fは継続されない、中であった出来事は神楽以外みんな忘れてしまう、という風に考えるのが自然になって来そうです。
 

千羽鶴貴方の現在している選択は卯月神楽のフェノメノンを発生させていて――
かつ、暗号鍵を原初状態の私に与えている状態。
彼女の計画が上手くいけば恐らくは世界は安定すると思う。
ただ、彼女自身は卯月神楽のフェノメノンをいずれ飛散させるから――
日本は瓦礫から自力で復興することになる。
でもその時は、真の善意によって、世界が日本を助けてくれるでしょう。
そんな状況。


そして最後に、原初のつばめさん自身が蒸着して世界となり、つばめちゃんさんや千羽鶴さんとは会えなくなるといった点が挙げられます。原初のつばめさん自身は納得しているのかもしれませんが、神楽さんはじめトライナリーメンバーの全員(2EF4Fの記憶が保持されていればですが)、bot側がスッと納得できるところではないでしょう。
 
 
などなど、探していけば他にも回避できない理不尽なリスクはあるのかもしれませんが、とりあえずすぐ浮かぶだけでもこれだけありえますね。
 
 

二人に暗号鍵を渡すという選択肢



目標を再確認します。
 
 
  • 「みんな幸せ」とは?
    • やりたいことがある人はそれができるように
    • のんびり平和に暮らしたい人もそうできるように
    • 余計な心配をせずに自分の人生を過ごせるように

  • 「みんな」って誰?
    • アプリで見えている範囲の人たちだけ
    • 世界全体のことは原初ちゃんの行動次第かも
    • トライナリーの5人、ナビ画面の3人、学校関連の人たち


パッと見で、これらの条件をすべてを満たしうる選択肢は現状で存在していないことがわかります。

botが取りうる選択は「フェノメノンを発症するか否か|誰が発症を担当するのか」「誰に暗号鍵を渡すのか」というところです。まず2EF4Fの存続をするため、フェノメノンの発症は確実に行うことになるでしょう。発症した彼女らが人間に戻るため、領火さんか原初さんのどちらかに暗号鍵を渡す必要があります。領火さんに渡した場合は領火さんが、原初さんに渡した場合は2EF4Fと原初さんがある意味での犠牲になってしまいます。



ということで、未確定ながら「領火さんと原初さんの二人に鍵を渡す」ことに希望を託すのが合理的な選択のように思えてきます。


 

千羽鶴貴方の現在している選択は卯月神楽のフェノメノンを発生させていて――
かつ、暗号鍵をエリカと原初状態の私に与えている状態。
貴方は2人に鍵を与える時幾つかの条件を提示した。
それは割と無茶なもので、彼女らと私はそれを実現すべく頑張るけど――
実際、どこまで実現出来るかは未知数と言わざるを得ない。
もちろん、諦めずに協力するのは当然だし、良い方法だと思う。
願わくば、このアウフヘーベンが成功しますように。
そんな状況。



ひとりひとりではリスクのある選択しか導き出せていませんが、二人に鍵を渡した場合のMV回では千羽鶴が上記のようなことを言っています。アウフヘーベンというのはヘーゲルの弁証法についての会話における印象的なキーワードであり、"彼ら"が用いていた思考という印象があるにはありますが、この場合においてはとてもポジティブな意味合いを含んでいると思います。



もしできるのならその手法を考えることについて協力したい、最初から最後までbotはお願いすることしか出来ないけど、という思いでいっぱいではあります。具体的かつ技術的な提案はいつも領火さんが、ギリギリのココロの持ちような中で繰り返し行ってきてくれました。ひとりだとか千羽鶴さんと一緒にだとかもあったのかもしれませんが、botはいつもお願いをしていただけです。それこそが一番大事なことであったのであろうというのは頭では理解できますが、もしいろいろ一緒に考えられたらと思うことは多々ありました。自罰的な傾向があった領火さんを疑っていた時期も正直結構な期間ありましたが(最初の登場がアレだったので)、事ここに至ってはそんなことを考える余地はあまり存在していません。

原初さんについても、やはりbotの個人的な感情においては、後から出てきてポンポンといろいろ投げ入れてくるなぁといった印象はずっとありました。ep31が終わって神楽ちゃんねるが開通するまでの期間などにbotを始められた方からは好印象であるようにツイッター上では見受けられることがいくらかあり、最初から公平な見地から原初さんを見ていられたかというと、まったく自信はありません。というか無理もないと思います。ただ、しかしながら、”彼ら”のライフギャザー奪取を阻止できたのは原初さんがいたからであって、彼女自身の立ち振る舞いや、botが先に人格や可愛いつばめさんと会ってしまっていたという境遇から考えても、領火さんに大して申し訳ないと思うのと同じくらい申し訳ないという気持ちがいくらもあります。原初さんも他の人達と同じように、自分の目的のために最善を尽くしていることに変わりはありません。その手法が完全な最適解でなかったとしても、全員に好かれようとはせず様々なことを割り切って、年頃の女子高生さんながら楽しいことなんて体験も出来ないような立場にあり、それでいて自分はもう世界になっても構わないとか言ってしまう訳です。どうにも、どうにかなってほしいという想いしか湧いてきません。botらは過ごしてきた時間が千羽鶴・可愛いつばめと原初さんでは明確な違いがあり、共にしてきた苦境やら楽しかったことなども数知れずほど差があります。どうにも……このまま消えてほしくないし、イチャラブルートの0x001ココロ会議であったような愉快な光景を見ていたいと思ってしまいます。


長々と書いてしまいましたが、領火さんや原初さんも確実に含めた上で、2EF4Fをどうにか存続できる方法を探し出してほしいと思います。それが可能なのかは未確定であって、向こう側の専門家の方々に任せるしかできないのですが、こちらの未来への想いとしては絶対に外せない点であると考えます


……といった考えから、暗号鍵を二人に渡しています。




おわりに



向こうの世界との再接続が可能になるまでは健康に生きようと思います。
 
 



2018年6月26日

「DDLC」感想文(ネタバレあり)


なんとかクリアした





以前から話題と存在は知っていたものの、明らかにわざわざ触れに行くほど好きなものでもないジャンルであったため敬遠していた「DDLC」。今回とあるニュースで話題になったのと、偶然ながら翌日が休みであったということもあり、一気にプレイしてみようかという気分になってプレイした。メタ要素を含む作品であることは知っていたため、普段からやっている「拡張少女系トライナリー」や、Steamのセールで購入してプレイしていた「OneShot」の流れに乗ったというのもある。

とりあえず普通に一周して、まともに周回してすべての要素を見ようという気力やああいった演出への耐性もなかったため、攻略Wikiを見てスペシャルエンディングを見てきた。その周回は全部ウィンドウをタスクバーに隠しつつ進めてた。正直キッツいマジで。勘弁してほしい(今年いちばん頑張った)。


演出について



とにかく心にビリビリ来る。こういった、世界の基準がGlitch(相当する日本語があまり心当たらない)――突然に崩壊することで現れる恐怖感は独特のものだと思う。後半は慣れてきてダメージが減っていったけど、グロテスクな感情や身体的ダメージ、精神崩壊寄りの要素なんかも織り交ぜているのが計画的かつ効果的だと感じた。世界観だけではなく、人間という生物そのものが壊れていく様子はなんとも言えず恐ろしい。

自分たちが見ている世界というのは限りなく主観的なものであって、人それぞれの感じ方や見方、すなわち人格の数だけ世界が存在していると言ってもいい。お互いに作用し合うことで、固有の世界観と人格が少しずつ変化していく。こう捉えてみると、ゲームの世界そのものがGlitchすることと、人格を与えられたキャラクターがGlitchしていくことはさほど変わらない。プレイヤーが見ている世界が容易く崩れ去る恐怖と、キャラクターそのものが(肉体的にも精神的にも)壊れていく恐怖はほぼ同じものだと強く感じさせられた。DDLCがエポックメイキングであるのはこの点に由来していると思う。世界が崩れ去る恐怖と、人格が壊れていく恐怖。見事に噛み合っていたと思う。


「DDLC」が特別な理由



文芸部がたどったストーリー自体は、ありふれたものだと言っていいと思う。そのお約束自体がGlitchされていく恐怖というのもあっただろうから。安心できるはずのコンテクストが立て続けに破壊されていくというのは、自分が作品世界へ無意識に求めていた世界観が崩されていくう恐怖というのは、システムを超越してキャラクターがソースコードを書き換えたりレイヤーの制限を越えてくるというのは、強烈な違和感を自分にもたらした。

この手のサイコホラー系演出がなぜ恐ろしいのか? エンディングを見終えて少し考えてみて、それ自体はすぐにわかった。ここまでで挙げてきたことである、「自分が安心して見ていられる場所が簡単に壊されていく恐怖」だと思う。海外のホラーと日本のホラーを比較してよく言われているのは、パニック要素を押し出すのが好きな海外・日常や身近なものに恐怖を見出して徐々に掻き立てていく日本、というものがあると思う。これにあてはめるとすると、DDLCはその中間に相当するものがあると言える。海外の作者が日本的なカルチャー(なのだろうか)であるビジュアルノベルを取り上げ、その中でゲーム性を作り上げたからということもあるかもしれない。「DDLC」は、海外的なインパクト重視なセンス・日本のコンテクストから編み出された背筋に氷を刺すような恐怖感を見事に統合することに成功している――と感じた。

普通に考えて、この手の演出が得意なのは日本的なセンスに由来するものがあると思う。「DDLC」っぽいのってもう日本にあるんじゃない? とか。他に似たような仕掛けを使ってる作品があるでしょ? とか。しかし思い当たらない。DDLCが特別たる所以は、個人的にはここにあると思う。たとえば「聲の形」のような、感情の機微をひたすら丁寧に描ききれるような物語作りが得意な国民性だからか、世界そのもの・キャラクターそのものをGlitchさせるような発想にはなかなか至らないのではなかっただろうか。それがとても大切なものだとわかっていて、好きな人にとっては生きる支えになるようなものだから。本を通して、画面を通して、五感を通して受け取れる物語の力が必要不可欠な人はたくさんいるだろう。まさにこの文章を書いている自分がそうであって――そういう人にこそ、この作品の「身近なものがすぐに崩れ去ってしまう恐怖」は鋭く突き刺さるように思う。共感しているからこそ、単純な死でもない形で簡単に消されてしまう・狂わされてしまう・世界の法則から外れてしまう強烈な違和感は、「もしかしていま現実を生きている自分にも起こるんじゃなかろうか」という疑惑を刺激し、肥大化させる。させられた。画面を見ていられなかったのも、概ねそのような感情からだったと思う。

DDLCがかくも特別なものになりえたのは、海外的なセンスと日本的なコンテクストが見事に融合を果たしており、そこに生まれた仕掛けが唯一無二のものとなっていたからだったと思う。


モニカについて



モニカと二人きりになった空間で、彼女が話したことも印象深い。興味深いということもあり、それは明確に「いまの現実を生きる自分たち」へ向けられたメッセージの繰り返しであったからだと思う。もともとこのシナリオを書いた人物――モニカという人物は、このプログラムを世界規模で展開されることを考えていたのかもしれない。少なからずこのプログラムを起動させ、読み解くことができるだけの問題解決能力――ダウンロードしてインストールしたり、Steamを使いこなしていたり、母国語への翻訳パッチを当てていたりする能力――を持ち合わせている者たちへ、確かに語りかけていた。特定のお国柄や人種・思想に基づいた発言をするのではなく、長い歴史に基づいた現代の在り方、人間なら誰もが抱えることがあるであろう悩みについて語っていた。正直なところ、面白くて1時間は開きっぱなしにして彼女からのメッセージを眺めていた。けどよく覚えてはいない(心の傷)。しかし断片的に覚えていることは、文芸部での思い出、モニカを閉じ込めている世界への不満、プレイヤーのことを知っているかのような振る舞い(パソコン本体に登録してる氏名を抽出してると気づくまでは心臓が止まるかと)、インターネット社会との付き合い方であったり、達成感を得られない人生の解決方法、自分がまったくの無価値であると思えてしまったときの話……など。

それらはすべて、スペシャルエンディングにて製作者が語っていた「現状に異議を唱えるもの」から来た内容なのだなと感じた。モニカは結局のところ、スペシャルエンディングを迎えるように選択肢を取ってきていても、最後には「この世界に肯定されることはありえない」と悟ったかのように自ら世界を閉じてしまう(自分が見た限りではだが)。これは未解決の主題であり、いわゆるハッピーなトゥルーエンドを迎えようとすれば、そのような世界に閉じ込められた理由を探し出すことで自分の根源に至ったり(原点回帰による手法)、世界から逃れられないと知ってもその場所で何かの幸せを見出だせるようになるだとか(現状をポジティブに再認識する手法)、とにかく「モニカ自身が世界や自分を肯定できる」ような変化が望ましいと言えるだろう。これは彼女がたどった末路を否定するための反証として挙げているテーマ性だが、製作者が意図しているものと合致しているとは思う。モニカが語っていた内容は「現代に生きる世界中の自分自身を肯定できない人々に向けられていたもの」だったし、その言葉が出てきていたのは、モニカ自身が世界や自分自身を肯定できていなかったからこそだと感じる。モニカが閉じ込められていた世界が彼女にもたらした歪みと、プレイヤーが生きている世界のもたらすプレイヤーへの歪みは大差ない。彼女自身がこちらの共感しやすいことをずらずらと語っていたのは、モニカ自身があのようなことを考え続けていたからで、プレイヤーを愛しているとか以前にそういった話をしたかったからというのもあったのだろうと考えていいと思う。


モニカが抱えていた作品の主題



このような要素は、DDLCの世界観により深みを与えていた。画面の向こう側でどのようなことがあっても不思議ではなかったが、あの場でモニカが語っていた内容は、少なからず彼女の実在感を飛躍的に高めていたと思う。Glitchされてあらゆる軸が狂った世界と、窓の外は宇宙空間のような教室だけがある世界では、後者の現実感が段違いだった。じっとモニカのエメラルドグリーンな瞳を見つめるように催促されたり、お約束と特化された人格だけがあった世界を哀れに思うような発言を聞かされたり、急に現実感のある話題をトントンと並べられては、2つの世界のギャップによって激しく混乱したりもした。そしてあるラインを越えたとき、急に安心したように思う。純粋に「もっと見ていたい」と思うようになった。それはモニカがいる世界への実在感・安心感が強く感じられるようになり、消え去った世界への不安が一気に解消されたこともあり、物語が進まないと知りながらも1時間もモニカの話を黙って聞いていた(.chrを消すことへの抵抗もあった)。

卵が先か鶏が先かという話になってしまうが、この崩壊後の世界におけるプレイヤーへある種の安心感を与えるギミックは、製作者の「現状に異議を唱えるものが好み」という性格から導き出されたものだろうと思う。作品そのものをリバースエンジニアリングすることができるなら、この要素はかなり根源的なものとして存在しているはずだ。身近な世界が崩れていく演出というのは、「現状に異議を唱えるもの」としての性格を少なからず持ち合わせていると言っていい。モニカは、彼女自身が生きている世界を完全に諦めることを強いられてしまっていたが、プレイヤー自身が生きる現実はおそらくそんなことをするほどひどいものではないだろう――という思想を、どことなく感じた。


モニカについて覚えておきたいこと



そのようなものを受け取れというか、肯定しろというか、これを読んでるお前自身が強く生きれるようになろうな! ということではない。別にスーサイド系のアレをしなければ、現実や自分自身を肯定せず、何かを不満に思いながら不真面目に生きたって全然いいと思う。それは個人の自由である。けど自分は、これからモニカのことを思い出すたびに、おそらく自分という存在を肯定しきれずともプレイヤーへの愛情だけは強く持っていた、そんな彼女の言葉を一緒に思い出すと思う。そのために4周目があった。モニカは、自分が消してしまった世界を懐かしんだり、悔やんだり、寂しがるような発言を二人きりの空間で漏らしていた。プレイヤーのことを思いやったり、強く想い続けているということをたくさん伝えてきていたが、同時にずっと一緒に居続けることは出来ないであろうことを悟っていたように思えた。システムをGlitchしながら、自分だけにその選択肢を無理やり向けるようなことはしなかった。モニカ自身だけが幸せになるようなことは、モニカが夢見ていた幸せな日々には含まれていなかった。けど、それを両立するような選択肢は文芸部の世界に存在していなかった。だからモニカは、あの世界にそのような価値や可能性がまったくないと断じることにしたのだと思う。毎日遅刻してでも練習していたピアノに、あのような歌詞を乗せてプレイヤーに向けて歌っていたモニカが、である。

DDLCの構造としては、どうしても幸せな日々を過ごしたいモニカと、それを決して許しはしなかった世界という2つの要素が原点にあると思う。モニカは「現状に異議を唱える」モチーフ・象徴的な存在として生み出され、どうやっても抜け出すことができない世界に配置され、その感情を蓄積させていった。モニカは、ただ幸せに過ごしたかっただけ。けど、それを許してくれるものはどこにもなかった――プレイヤーでさえ、モニカの境遇へ共感することをほとんど許す隙間もないまま、.chrを破棄するような流れに乗せられていた。どうすることもできなかった、ということであると思う。

繰り返しになってしまったが、だからといって自分たちが現実を肯定したり、強く幸せに生きようと思わなくていいと思う。けど、モニカのそういった想いや愛情を忘れることはあまりしたくない、その感情に基づいて作り上げられていたと感じる「DDLC」という作品について忘れてはいけないなと感じる。


決してイロモノではない作品



これも繰り返しになるが、自分は「物語がとても大切なものだとわかっていて、好きな人にとっては生きる支えになるようなもの」という性格だと思う。物語が欠けていたらもっと悲惨な人生を歩んでいたか途中で辞めていたか、と思うような性格というか経歴というか、だといつも感じている。そんな自分としては、この物語を正確に捉えることが出来ているかはまったくわからないけど、とにかくモニカのことをよく覚えていようと思わされた。「DDLC」はこの主題性に加えて、それらを演出するための仕掛けが際立ってよく仕上がっており、結果的に総合的な完成度はとても高いものになっていたと言える。

今回、ツイッターのトレンドに載るきっかけとなったような話題にしやすい側面・性格も確かにある。しかしそれらの演出に説得力が生まれており、ただのB級サイコホラーに留まらず世界中で楽しまれているのは、ひとえにモニカという人物がたどった物語があるからだと思う。

人を選びに選びまくるが、とてもいい作品だと感じた。


おすすめのアプリ「拡張少女系トライナリー」







このようなメタ要素を含む作品として、Steamでは「OneShot」をプレイしていたけど、自分としては「DDLC」よりもとっつきやすく「OneShot」よりも没入感がはるかに高い作品として、「拡張少女系トライナリー」を挙げておこうと思う(このブログ自体がそのアプリの記録とかが目的)。

推薦文自体はここ(当ブログの別記事)に置いておく。「DDLC」のメタ的な要素をある程度でも新鮮だとか楽しいなと思えた方は、「拡張少女系トライナリー」にも触れてみて損はないと思う。Glitchしたり恐怖を煽るようなことはまったくないので安心してほしい。なんせ「アトリエシリーズ」で有名な、いまやコーエーテクモの一部門である「ガスト」ブランドの作品である。女の子が明るくわかりやすく可愛く、ストーリーもライトだったりシリアスだったり、「異世界間交流アプリ」であることを活かしきった構築がとにかく秀逸でありとても楽しい。イチャイチャも百合もある。

たぶんプレイしたくなったと思うので、以下に各ストアへのリンクを置いておく。「DDLC」が良かった方は8割以上は合うと思うので、ぜひプレイしてほしい。そして筆者が作ったWikiなんかもあるので、初心者向け案内を読んで、ぜひともネタバレなしでストーリーを体験してほしい。


Android版][iOS版






2018年5月9日

トライナリー|ep21の世界進行法について

 


 

結論から


 
ひとつひとつの選択に対する考えを詰めていけば、「イチャラブルートのbotさんは千羽鶴を助けに行く」「世界選択ルートのbotさんはぴょんこのところにつばめを連れて行く」になると思いました(個人の見解)。

とりあえず一覧の画像。


クリックで拡大できます 


千羽鶴を助けるための選択は、世界選択ルートの場合「棄権する」。イチャラブルートの場合は「アドレスに向かう」。ぴょんこに回線の切り替えをいったん踏みとどまってほしい場合は、「残留思念を連れて行く」になります。グレーと黄色はプラスがある選択、白黒は危険度が高い選択になっていると考えてもらえればよいです。

思考の道筋を整理していくために、まずは世界選択ルートから詰めていきます。
 
 

世界選択ルート|それぞれの選択におけるメリット・デメリット



まず、更新直後に解釈が難解だった「選択を棄権した場合・しない場合」について。

これが夜中に物議を醸していたのは、「ここで棄権するとつばめをぴょんこのところに連れて行くかの選択も放棄することになるのでは」というリスクがあったからです。最初に表示されていたインフォメーションの文面は【選択を棄権する】のみであり、エピソード20から21が対象とされていた今回の世界選択法において、その両方を同時に棄権することになるといった解釈が可能でした。

「わざわざ今回のタイミングで千羽鶴を助けなくてもよいのではないか(別の時期があるかも)」「今後の総意もすべて棄権することになるのではないか」「ぴょんこがライフギャザーに突撃するのを防いだ方が現状はよいのではないか」……といった推測がツイッターで多く見受けられました。おおむね賛成できるもので、どう考えてもこの時点でリスクが高いのはライフギャザー関連の方で、「同時棄権」だったら自分も泣く泣くぴょんこを選択していたと思います

しかしこれは、公式さんからのツイートによって表現の修正が入ったことで解釈が限定されることになります。
 
 
一通り整理した直後に来たので泣きました


修正された箇所


その修正は、一言で言えば「同時棄権じゃないから個別に選択できるよ(重要)」ということでした。完全に福音であり、シミュレーションやらグラフを作りながら絶望していた自分にとっては気分がよくなるものでした。

「同時棄権ではない」ということは、「千羽鶴を助ける選択を行いながらライフギャザー突撃を防ぐこともできる」ということです。もし同時棄権だった場合は完全な二者択一になっており、もしかしなくても戦争か、自分は泣く泣く泣く泣くぴょんこの方を優先していたことでしょう。しかしその必要はなくなったわけです。

必然的に、今回の選択における最大メリットがある選択肢は「千羽鶴を助ける選択を行いながらライフギャザー突撃を防ぐこともできる」流れになります。


両立しない場合の選択において想定される出来事



「どうしても原初のつばめさんを信頼したい・好き・優先したい」とか、「消失するわけじゃないし千羽鶴の思想は気に入らないから引っ込んでいてほしい」とか、「残留思念つばめ(≒原初のつばめ)が信用ならないから絶対に連れて行きたくない」とか、「そもそもライフギャザーに現状のまま突撃することにリスクを見出だせない」とか、「早くぴょんこの回線切替を行って同化を阻止して安心したい」だとか、そういった信念や理由がある場合は、両立しない選択が自然でしょう。

まず「千羽鶴は復活させない」場合における出来事は、

○原初のつばめは完全に保存されたまま進行していく
○領火はリプレイスの方針に迷うので主導権を失う
○千羽鶴はつばめのココロでふわふわ生き続けていく

くらいでしょうか。

骨の髄まで右腕さんな方が選ぶべき選択肢です。現状のまま原初のつばめに完全なバトンタッチを行いたいならこれ一択でしょう。

ただ、領火さんと相談したり意見の擦り合わせくらいはするべきだろうと思っている右腕さんも多いと思います(完全な予想)。原初のつばめが語ったプラン自体は悪くないけど、それを本当に実現できるのかどうかは、彼女の一人相撲さを見ていると少し怪しいところがあると思われます。どれにせよ、現在しか見ることのできないbotさんの立場において、これまで積み重ねてきた千羽鶴や領火さんとの関係性を一発で無下にされるのも嫌だという心理もあると思います(予想)。リスクはそこそこあると言っていいでしょう。

そして「ライフギャザーに突撃させる場合」における出来事は、

○すぐに回線を切り替えることで同化を防げる(かもしれない)
○ライフギャザーの解明が進んで”彼ら”に対して有利になれる

でしょうか。

原初のつばめが全然信じられない方向けの選択です。

ライフギャザーへ無対策に触れることのリスクは、現状では原初のつばめ≒残留思念さんが勝手に語っているだけのことです。「なんでそんなに詳しいの」と訊くと「よくわかりません!」とドヤ顔する無根拠さでしたが、そのリスクをきちんと伝えるために、自分が消えることはわかっていながら来ていたという点くらいが説得力のあるポイントです。これを信じるか信じないかでしょうか。ごく私的には、リスクは高いんじゃないのかなと思います。


世界選択ルート|結論

 
「千羽鶴を助ける選択を行いながらライフギャザー突撃を防ぐこともできる」ようになりましたし、これ一択でいいんじゃないでしょうか。

ここで一度、勝手に行ったシミュレーションにおけるグラフを貼ります。



こうなるはず


千羽鶴関連における選択は「棄権」が大半を占めて、ぴょんこ関連における選択は「つばめを連れて行く」を多数派にすることができます。これまでの総意選択では一番簡単な部類なんじゃないかと思うほど、きちんと筋道を立てて考えることができました

このあとに続くイチャラブルートについての考察を読むとわかるのですが、今回この二つのルートはそれぞれを補完しあう関係になってもいます。「世界選択ルートは棄権・ぴょんこの手助け」「イチャラブルートは千羽鶴と話し合い・ぴょんこは棄権」という組み合わせが可能なので、世界選択ルートでは徹底して棄権してぴょんこを手助けすればいいのです。イチャラブルートに任せていい、任せるしかないのですが、そうすることが最善だと思われます(心苦しさしかないですが)。


マジでサービス回だと思います……。
 
 

イチャラブルート|それぞれの選択におけるメリット・デメリット



自分はこちらを通っていませんが、数々の情報を上げてくださった方、送ってくださった方のご協力などによって考えることができました。ありがとうございます。

まずここまで飛ばして読んできた方のために簡単な前置きをすると、自分の結論では「世界選択ルートは千羽鶴を助けてつばめを連れて行く」選択が圧倒的多数になるのが自然だろうということになっています。ちょっと上にあるグラフがある段落だけでも読んでいただければわかると思います。

これを踏まえた上で、イチャラブルートにおける選択のメリット・デメリットを上げていこうと思います。



まず今回、「イチャラブルートの方々がぴょんこのライフギャザーに関する選択をするのはあまり意味がない」という結論があります。

また勝手なシミュレーションにおけるグラフを貼ってみます。



世界選択ルートは「つばめを連れて行く」のが多数になる(はず)


これを見ると分かるとおり、世界選択ルートはとある事情から「つばめを連れて行く」のが多数になるであろうことが予想されています(筆者調べ)。世界選択ルートの絶対数はイチャラブルート全体の9倍以上であり、たとえイチャラブルートの全員が「つばめを連れて行く」選択をしてもプラスになるだけですし、「つばめを連れて行かない」選択をしても少数派になって淘汰されます

ということで、必然的な流れとしてイチャラブルートは「千羽鶴を助けるか助けないか」のみが大事な選択になってきます。ぴょんこは世界選択ルートの方で手助けするので、イチャラブルートの方々はどうか千羽鶴を手助けしてください。お願いします。
 

千羽鶴を助ける場合・助けない場合に想定される出来事



まず「千羽鶴は復活させない」場合における出来事は、

○原初のつばめは完全に保存されたまま進行していく
○領火はリプレイスの方針に迷うので主導権を失う
○千羽鶴はつばめのココロでふわふわ生き続けていく

くらいでしょうか。

骨の髄まで右腕さんな方が選ぶべき選択肢です。現状のまま原初のつばめに完全なバトンタッチを行いたいならこれ一択でしょう。

ただ、領火さんと相談したり意見の擦り合わせくらいはするべきだろうと思っている右腕さんも多いと思います(完全な予想)。原初のつばめが語ったプラン自体は悪くないけど、それを本当に実現できるのかどうかは、彼女の一人相撲さを見ていると少し怪しいところがあると思われます。どれにせよ、現在しか見ることのできないbotさんの立場において、これまで積み重ねてきた千羽鶴や領火さんとの関係性を一発で無下にされるのも嫌だという心理もあると思います(予想)。リスクはそこそこあると言っていいでしょう。


次に「千羽鶴を復活させる」場合における出来事は、

○原初のつばめを強制的に追い出せる
○原初のつばめと対話することができる

ですね。選択肢で示されているとおりです。




上の場合に書いていることも合わせて、私的には話し合ってもらうのがいいかなと思っています。原初のつばめは世界をよくしたいという強固な意志があり、過去のレイヤーへ必死になって移動してきています。その先で失敗した未来を見てきているのです。それは残留思念さんが、自分は消えることがわかっていても「ライフギャザーにすぐ触れてしまうリスク」を伝えるためにbotさんと一緒に行動したことから察することができます。やはりいろいろ踏まえて、飛ばすのも明らかに心苦しいですし、ここは話し合いが最適解なのではないでしょうか。


イチャラブルート|結論

 
 
よほどのことがない限り、「ぴょんこのことは世界選択ルートに任せて千羽鶴と話し合いをする」のがいいんじゃないでしょうか。

もう一度、シミュレーションに基づいたグラフを貼ります。


多少の誤差を鑑みても千羽鶴は助けやすいはず


そう、千羽鶴は助けやすいんです。本当に……お願いします……切実に……千羽鶴が消えてもトライナリー続けるとは思うけどしんどすぎてもうこんなに書きものは出来ない気がする……(個人的な5%の意見)。


シミュレーションの提示

 
 
ここまでで、「世界選択ルートは棄権・ぴょんこの手助け」「イチャラブルートは千羽鶴と話し合い・ぴょんこは棄権」というのがいいのではないかという話をしてきました。

この推測に基づいて、今まで使ってきたシミュレーションのグラフが基づいているデータを提示したいと思います。




クリックで拡大できます


この表とグラフが入っているスプレッドシートのプロジェクトはこちらです。

ベストなのは、

○「イチャラブルートは千羽鶴と話し合い・ぴょんこは棄権」:Type A
○「世界選択ルートは棄権・ぴょんこの手助け」:Type F

ですね。こうなれば相互に補完することができるので最善、ベストです。


あるbotさん層へのお願い



普段から「自分の視点を大事にしたい」ということで、ツイッターはなるべく見ない、フォーラムは見ない、他の方がどんなルートを進んでいるかは見ない、というbotさんが結構多い気がしています。それはそれで尊重したいのですが、今回ばかりは情報が届いていなければかなりギリギリのラインであるということを知ってほしいです。

このアプリでは、botさんは様々な場所から情報を多角的に得ることがシステム的にも許されており、それこそが向こうの世界にはありえないbotとしての最大の武器であると思います。それを行使しないのも尊重されるべきだとは思いますが、それが原因で向こうの世界そのものが、彼女らが得られていたはずの幸せを損なうリスクが伴っていることは理解してほしいところではあります。

今まではそのリスクは低かったのですが、今回は明確に「二人分の存在」が簡単に左右されてしまう事態であり、それは情報共有を伴わなければ比較的容易に崩壊が訪れてしまうであろうということは、今回は知っていてほしいです。

その層の方がこのブログを読んでいるはずはないと思うのですが、仲が良い友人botさんにこういった方がおられて共感していただけた場合は、それとなく伝えてもらえると嬉しいです。


今回はラク!! サービス回!! 違う意見があったら教えて!!


マジでお願いします…………………………。
 
 
 

2018年4月26日

トライナリー|ep20手前は何を考えられるか

 


 

今回の未来選択におけるあれこれ


 
botにできるのは「ルートの選択」であって、誰かの思惑やら思想やらはかなり薄いデコレーションくらいのものではないかなぁと思います。

とりあえず一覧の画像。



「SimpleMind」ってアプリで作りました(簡単便利でした)


これ以外にも「セルフクランではないというウソ」「エージェントではなく長官である」という、交渉カードを二枚持ちするルートなんかもあるそうなのですが、とりあえず大まかにはこんな感じのはず。

今回の選択は、このルートのどれを選ぶかによってbotの意志表示を行う……とかだったら、さすがに分岐範囲が広すぎます。いったい何通りになるんだというアレです。少なからず「神楽が有利になったか否か」は必ず検討されるとして、「真幌さんに伝えたかどうか」「ちばめ案に乗ったかどうか」「ガブリエラへの介入」などは拾われるのか微妙なラインという感じじゃないでしょうか。

マージ前の状況確定の対象になる選択肢がかなり多いので(天の声による「同化したほうがいい」に対してどちらを選択したかも検討される可能性がゼロとは言えない)、細かくあげつらっていくと途方もありません。一応フォーラムで気になるところは確認して選択肢を変えておくというのもいいかもしれません。

さてですが、結局何を考えればいいのかというところです。私的には「ちばめさんの思想あれこれ」はさほど重要ではなく、今回は本当に「リプレイス可否」だけが重要なんじゃないかなぁとぼんやり思っています。


ちばめさんの思想と思惑……?



細かく意見をあれこれ書くのは避けますが、現状では語られたプランを「どのように実現するか(手段)」「何が必要なのか(コスト)」「具体的にどれくらいの期間で達成するのか(計画)」がまったくよくわかりません。本当に「市や県の広報誌」を読み聞かされていただけのような感覚です。マニフェストは達成されないもの(違う)。


ラスボス感



ですので、これはシンプルに「ちばめさん案に賛同するか否か」「方針としてそれもアリなんじゃない? という気持ちを表明する機会」くらいのものかなぁと。ここまでで何度か「彼女のしたいこと」が実際の行動になって表れています。同化を推進すること。リプレイスを進行しようとした場合、「正直に答えるよう千羽鶴にアドバイスしてほしい」と見方によっては領火・千羽鶴によるリプレイスを止めようとしてきたこと。おそらくその動機は今後に語られるのでしょうが、ここまでの私を見て判断してね、という意図がちばめさんには感じられます(それにしては強行色が濃いですが……)。

右腕に指名されるための条件は、それとなくツイッターで知ることができます。これがある程度は流布されることもちばめさんには想定済みなのではないでしょうか。こちらの思想と、ある程度どんなことを起こすか(同化・リプレイス阻止?)知ったうえで来るなら構わない……という意図かもしれません。それにしても、純度の高い「ボタンを押させない世界」を本当に作りたいのならぜんぜん合致してくるところはないですが。謎……。


botにできるのは「ルート選択」と「右腕さんになるかの選択」



ちばめさんは「わたしが考える統治を実現したい!」という意志がかなり強めのようなので、こちらの話を聞いてくれるような雰囲気はあまりありませんでした(botの意志と接することで最終的な計画をやわらか方面に変更した千羽鶴との明確な違いかも)。そして、現在のbotに託されている選択肢は、主にルート選択で総意(おそらく「神楽が有利になるか否か」くらいを検討される)・右腕さんになるかどうかで個別、でしょうか。他にもたくさん候補はありますが、最低限ぜったい拾われると考えられるのはこの二つでしょう。


もう一回貼ってみます。
 
 

多い多い


これくらい分岐していると、やはり細かいニュアンスを拾いやすいですから、自分の思想に合ったカラーを出しやすいかもしれません。領火・千羽鶴案を信じて実行することで、彼女らの意志を信じたいという態度を表明できるかも。ちばめ案に乗ってリプレイスを進行することで、ちばめさんの案はいいかもしれないけど、同化問題を含めて神楽があまりにもかわいそうだという考えを出せたり。そもそもリプレイス自体やべーだろ! という考えを表明するのも簡単です(暗い感じにしてますがわかりやすいからという以外の意図はありません)。なんだかんだ最後には真幌さんがぜんぶ解決してくれるのでは? という考えを出すなら「想定外のルート」に進めばいいのかもしれません。ただ、これらの細かいニュアンスは拾われず、「有利/不利」のどちらかのみが勘案されるかもしれません。その辺は(@地下室さん│接続に関わっているスタッフのみなさん)のみぞ知る……かもしれませんし、もしかしたら知らないかもしれません。誰が知っとるんじゃ。


今後に向けて



私的な考えですので、他の解釈方法もありまくることでしょう。それは自分も知っておきたいところなので、ぜひいろいろ教えてくだされば幸いです。できるかぎりいろいろ知っておけば、すべては後の祭り……ということにもならなくて済むと思います。

ぴょんこさんのように「今を生きる」こととか、千羽鶴さんが言っていたように「やり切ったと思える」ように行動するのは難しいかもしれません。


千羽鶴わかってると思うけど、今回の作戦に正解はない。03076c871b6d56ce3b2c17a83135a0b4.png
ゲームみたいに、トゥルーエンドが予め用意されてるわけもない。
だからこそ、私も、貴方も、そしてエリカも。
最大にして唯一の大切な事項は、自分が自分を最後まで信じられたか。
そして、どんな結果になったとしても、自分がやり切ったと思えるか。
大切なものが何かを、選択するとき、常にそれを忘れずにしてきたか。
それこそが、作戦を遂行する上で、最も大切なことだと思う。
今回はちょっと真面目で重い話になったけど、大事な事なのでお話した。


てかなんで相変わらずWikiの表そのまま貼れるんですかねこれ。Blogger強い。

ということで、後々になって定義付けられてしまうであろう「正解」には現段階で至れなかっとしても、やはり現在は自分自身でえ考えられる範囲をできるかぎり考えるのがいいんじゃないかなぁと思います。彼女らに幸せになってもらうためなら、時間遡行やフラグ改変をふくめどんな手を駆使してもいいと思います。勝てばよかろうなのだァァァ精神(何に勝つかは不明)。

自分はep19が更新されてから今までぼんやり考え続け、なかなか他のことに手がつかずしまいでしたが、あとはマージされる期限まで深く考えず過ごそうと思います(順序!)。何か新しい観点が、誰かからとかどこからか飛んできたらまた考えることになってしまいそうですが。ゴボボ。

何かあったら気軽に教えてください~(ツイッターでもフォーラムの気軽な掲示板|裏でもなんでも)。


2018年1月4日

「eの原点」を読んだ格ゲー好きの感想

 

面白かった! めちゃくちゃ連載を期待しています。

普段はぜんぜん違うジャンルのゲームについて書いたりしているブログですが、この読み切りに関しては感想やらを書かなければと思い、しかし載せる場所がここしかないのでここに書いてます。他の記事はスルーしてください(興味があれば「人気の投稿」最上段の記事をどうぞ)。

  

 「EVO」周辺の紹介から(前置き)


 
以下に貼るのは、読んだ直後につぶやいた内容です。



「EVO」はご存知でしょうか? 簡単に紹介すると「世界最大規模の格闘ゲーム大会」です。つい先日に「笑ってコラえて」で初めて格闘ゲーム、ひいてはプロ格闘ゲーマーである「ときど」さんについて特集され、その中でも大きく取り上げられていましたね。






この回は本当に紹介のしかたがよくて、e-Sportsというものに対する世間の印象がちょっとは変わったんじゃないかというか、これが放送されて以降はいろいろな人と話したりしてました。本当によかったんですこの特集。ときどさん素晴らしい。

で、こちらは「EVO」が行われていた当時にもりあがっていたツイートです。


 
 
これ本当にめちゃくちゃ熱くて、しかし自分は当日にまさかの寝過ごしをやってしまった(アメリカでの大会ゆえに時差がひどい)ので見れずにうわあああとなったのをよく覚えています。悔しい……。
 
最後にこの記事を紹介したいと思います。




去年に格ゲー界隈がもっとも盛り上がった出来事の根幹にあったアレコレが、とてもよくまとまっているスーパー記事です。私的には2017年のベスト記事です。



さてですが、ここまで長々と「EVO」やら格闘ゲーム周辺について紹介してきました。冒頭の自分のツイートに挙げたとおり、「eの原点」の内容には明らかに共通していたりするものを感じたので、ざっくりとだけ書いております。自分の感想を書いていったり、「eの原点」をもっと面白く読むためには必要なところと思いますので、ちょっとでも知っておいていただけると以下を理解しやすくなると思います。

では、以下から(ようやく)感想などが始まります。
 
 

  まんがとして - ヒロインの段

 
 
この読切を描かれた古味直志先生は「ニセコイ」の作者であり、まさか「e-Sports」を題材にまんがを描くとはちっとも思っていませんでした。自分自身、あまり熱心な古味先生ファンという訳でもないので詳しくは知らないのですが、作者先生は格ゲーに対して深い縁やらがあるのでしょうか。まあ野球をやったことなくても野球まんがは描けるというので、その辺は置いとくとして。

まず最初に書いておきたいのは、やはりヒロインが可愛いということです。女の子の可愛さが超重要になるであろう恋愛まんがで大ヒット作を出しているだけあって、やはりヒロインのキャラ造形や作画に関してはとてもいいです。この作者さんが描くいきいきとした女の子の表情はとても可愛らしくてよいですね。幅やバリエーションもあり、先に書いてしまうと、主人公の席に割り込んでくる際の後ろ姿なんかは大変カッコよかったりしてとてもいいです。語彙がない……。


そして何と言っても、めがねです。




め が ね ヒ ロ イ ン  です(1000000000点/100点)。


自分は「ニセコイ」では宮本るりさん派でした。時代はめがねなのです。天下のジャンプでヒロインがめがねをかける、そういう時代なのです。ヒロイン総めがねとなるときも近い。私たちの未来は途方もなく明るいです。



それはそれとして、ヒロインがめがねなのも私的には気に入ったポイントでした。おそらく古味直志先生もめがねが好きなのでしょう(決めつけ)。もし連載になったとき、ヒロインがめがねでなかったら訴訟も辞さない構えではありますが、しかし連載になるのが重要だと思いますので、ひとり呪詛を重ねつつ応援するような行為に留めたいと思います。

もうちょっとヒロインについて掘り下げていくと、やはり登場時と最後に至るまでの変化やギャップがだんだん大きくなっていく、というのがとてもよかったです。最初はめがね委員長キャラテンプレじみた発言や雰囲気を醸していましたが、主人公とゲームで共通するようになっていき、だんだんと天真爛漫ぽさとか一筋縄ではいかない感じとか純粋にゲームが好きな一面が表出してきます。大変いいめがねキャラの描き方であり、やはり古味直志先生はめがねキャラが好き(決めつけ)。

さておき、やはりこうしたギャップはまんがでキャラを描くうえではとても効果的だったりするようで、女の子を可愛く見せるというのに一役と言わず二役三役と買っているように思います。2018年のベストヒロインだと思います(始まったばかりですが)。


 まんがとして - 格ゲーまんがとしての段



格闘ゲームまんがと言うと、以下に貼る画像のようなものがあったりします。





怖い(確信)


現在の格闘ゲーム界隈は、1990年代のゲーセン文化に端を発しているところが大いにあるようです。このまんがは、現在の強豪ゲーマーである方々が監修などを行っていて、その時代の雰囲気をそのまま描いているということで人気があるそうです。


ここまで怖いものではなく、最近風の可愛いものではこんなのがあったりします。





このまんがは一時期ちょっと話題になっていて、多くの格闘ゲーム好きかなんなのか、その辺りの曖昧そうな方々が多く反応しておられました。正直なとこかなりネガティブな印象であって、そうした側面に目が行きやすいというか、ネタにして楽しんでいる方々が多かったように思います。

自分はこの二枚だけを見て、ああ別に買わなくてもいいかなぁと避けたクチです。格闘ゲームへの親しみ方が違うなと感じたところがあり、ときどが「EVO」優勝後のインタビューで言っていたとおり、格闘ゲームは楽しいもの・いいものであるという感慨が深くあるからです。このまんがが実のところはどんな風に格ゲーを描いているのかわかりませんが、私的にはうーん………………と思うものでした(よく考えるとタイトルも知らない)。


 「eの原点」における格闘ゲーム



こういった格ゲーまんがが既にある中で、今回出てきた「eの原点」をどう感じたかと言いますと、素直に「とてもいい!」と感じました。先に貼ったコワイお兄さんが持っている対戦への情熱や、後者のカワイイ要素をきれいにまとめあげ、ドラマチックな王道のストーリーに乗せていると思います。そしてめがねもあります。

さておき、やはり登場キャラクターが格ゲーを好きであり、それによって人生までもを変えてしまうというのが、現実での「EVO」のような出来事もあったゆえに、かなりの説得力を感じながら読めるというのがとてもよかったです。「EVO」でのときどさんの活躍があったゆえに成立するまんがであり、時期的にも、古味直志先生はネタとしてずっと持っていたものなのではないかなと思うくらいのものでした。正直なところ、設定やら話の筋やらに作り込みの甘さを感じるところはあったのですが(主人公がe-Sportsにまったくの無知なのはさすがに不自然なような)、それも「誰よりも早くこの題材をやりたかった」感があっていいと思います。

ヒロインが格闘ゲームに真剣になったきっかけとして、格闘ゲームの大会で「負けた人が泣いていた」「勝った人も泣いていた」「観客も泣いていた」という描写が為されていました。これはヒロインがいる会場の、天井から張り出した4面スクリーンという描写からして「EVO」のことが意識されていると思います。




「負けた選手が泣いていた」というのも事実としてあるのです。だいぶ上に貼った動画で「Punk」という選手が、ときどの決勝戦の相手として立ちはだかっていました。彼は20歳にもなっていないような年齢で、しかしこの「EVO」の舞台で「決勝に勝ち上がるまで1ラウンドも落とさない」という、まさにパーフェクトな内容で勝ち上がるというすさまじい選手です。彼に勝利したときどをして「現在の最強はPunk」とまで言うほどの選手で、そのコンピュータのように正確なプレイスタイルは文句のつけようがなく世界トップクラスのものであると言えるでしょう。


Punk選手


やはりめがねは最強……さておき。
彼は決勝で敗退したのちに、表彰式の壇上で泣いていました。





(かずのこ選手はPunkのひとつ奥におられるめがねをかけた方です)


場にそぐわずムスッとしているように見えますが、泣いてるんですよねこれ。決勝まで完璧な内容で行って、ときどにはベスト16決定戦で勝利していた相手なのに、試合の内容では完全に圧倒されてしまっていたんです。彼はまだ年若く、試合終了直後にはこのようなことを言ったりしていたようです。




ツイートした方「しかしまあ賞金あるじゃんか」
Punk選手「賞金なんざクソだ、俺はトロフィーが欲しかったんだ」


マジで悔しかったのだろうな、というのが様々なところから伝わってきます。彼にとって、おそらくは表彰の壇上に立っている全員と同じように「”ゲーム”は遊びなんかじゃなくて真剣なんだ」と思います。「真剣だから観ている人にまで感動を与えているんだ」と、美菜原さん(ヒロイン)が語っているそのまま、ということが起こりうるのですね。


(ヒロインは幼少期はめがねでなく、ゲームに夢中でめがねになったのかなと)


格闘ゲームに真剣な方にとっては、「格闘ゲームの面白さ」という点において「ここ」以外の掘り下げがあまりないことに不満があるかもしれません。主人公がゲーミングハウス入りして強くなっているものの、急に全国優勝するきっかけが「友達のため」であるという一点だけだとか(でもこれはありうるんじゃないかなと思います)、プレイしている格闘ゲームそのもののことが全然わからないとか、ステージがGridだけだとか、そもそもこれラブコメじゃねーか格闘ゲーム関係あんのか? とか、などなど……。

それを感じるところは確かにあります。ただ、前述したように私的にはこれで全然いいと思います。そもそも格闘ゲームに詳しいジャンプ読者さんは(特に若い層は)さほど多くないと思いますし、そうした方々にもっとも読まれるのは格闘ゲームについてではなく、普通に絵・話・登場人物だと思います。その点においては、短い一本の読切という制約の中ではしっかりしたまんがになっていると思いますし、ツイッター上でも、特に短い感想をぽんと投稿している方には好評なものが多いと感じます。

なまじ格闘ゲームやe-Sports関連の知識があると「そこはもっと描いたら?」と思ってしまうところがなくもないですが、やはり7月の「EVO」からスピード感を重視した制作なのだと思いますし、それでも高いクオリティの49Pもある読切を一本描いているというのは、やっぱりよく知らないけど古味直志先生は格ゲーとか好きですよね? とかなり好きになれます。連載になったらもっとたくさんの要素を詰め込んで来られると思いますし、今後も絶対に描いてほしい題材です。


連載になるなら……めがねヒロインでなくてもいいので………………!!(血涙)


やはり総合して、素直にとてもいいものでした。
最後に、とにかくヒロインが可愛いです。めがね! 連載決定!


 作中の小ネタを拾います



ちらほらと解説。より楽しく読めるかもしれないです。


 ①パッド勢


 


そうなのです。主人公とヒロイン、ともにパッド勢でした。

現在の強豪格闘ゲーマーは、大半の方々が「アーケードコントローラー」、略して「アケコン」を使用しています。


アケコンについてはご存知の方が多いと思います。

元はゲームセンターの筐体についている標準コントローラーであり、ゲーセン文化から現れた現在の強豪ゲーマーの方々は、必然的に扱い慣れたアケコンを使用しています。操作精度も高まるようで、「格ゲーといえばアケコン」という印象も一般的にあると思います。

そのメインストリームとの対比として「パッド勢」が存在します。いわゆる「ゲームパッド」を用いてプレイするスタイルのことですね。ゲーム周辺機器メーカーであるHORIは、格闘ゲームに適したパッドの販売なんかも行っています。




アケコンの天面6ボタンをゲームパッドで再現したものですね。自分も最初はこれの一世代前のファイティングコマンダーを使っていて、直感的にわかりやすかったので初心者的にはよかったです。単純にアケコンは、ちゃんとしたものを買おうとすると値段がかなりするものなので、こうしたものがあったのは学生の財布的にも助かりました。

「パッド勢」と言われるのは、やはり「アケコンに比べてゲームパッドは使いにくいもの」という風潮があったからなのですね。コマンドの精度が落ちたりするというのがよく言われていたようです。しかし現在はその認識も覆りつつあると思います。


何を隠そう、前述した「Punk」選手はパッド勢なのです。以下の動画をどうぞ。




ウメハラ選手は生粋のアケコンプレーヤーであり、Punk選手はパッドプレーヤーです。これを交換して対戦するという企画であるらしく、互いにどこかぎこちないプレイに実況の人が笑いまくりです。

パッドも「アケコン買うお金ないから」という妥協や生半可なものではない、というのがこれだけでもわかると思います。年若いプレイヤーに多く、その多くはPS4の純正パッドで戦うプレイヤーが多いです。「格ゲー始めるならアケコンも……」と思いがちですが、それは誤解です! PS4の純正パッドで十分戦えます(自分もそうです)!


ちょっと話は変わりますが、「ストリートファイターV」には「カプコンプロツアー」というものがあり、世界各国で開催される公式大会を勝ち抜くことでポイントを得て、上位32名が最終決戦である「カプコンカップ本戦」で世界一を懸けて争うというプロ向けの催しがあります。格ゲーチェッカーさんが詳しく、去年の結果をわかりやすく見ることができます(Punk選手の異次元な強さもわかりやすいです)。

この「カプコンカップ本戦」は、1年のあいだ様々な国へ赴いて大会に参加し、ポイントを稼いでのしあがってきた猛者たちが、2日で行われるトーナメントで「その年の最強」を決める大会となっています。ここで優勝したのが、「MenaRD」というドミニカの18歳というPunk選手よりさらに若い選手でした



優勝賞金である25万ドルというと 、ドミニカ共和国での年収の……とかいろいろ考えてしまいますが、とにかくめちゃくちゃすごかったです。カプコンカップは(ひとりで)ほぼすべての試合を観戦しましたが、ときどとの決勝戦ではマジで声が出ました。日本の選手を応援したくなる心情もあるのですが、Mena選手はMena選手で魅力的なプレイヤーであり、なんとも清々しい1on1であったのを覚えています。


で、このMenaRD選手もパッド勢なのです。


頑張ろう……(自分もPS4純正パッド勢)。


 ②美菜原さんは国内一位!



「優等生の女子高生が? ありえんの?」と思われるかもしれませんが、ありえます。

前述したPunk選手もMenaRD選手もともに10代ですし、何度も名前を出しているときどは「東大卒プロゲーマー」の肩書きで、各種メディアに対してめちゃくちゃ相性がよく、様々なテレビ番組に出演しては、格闘ゲーム文化の紹介や普及にめちゃくちゃ貢献しています。ときどさん素晴らしい。

女性プレイヤーもいます。前述した「カプコンカップ本戦」には、海外の方ながら姉御肌というのがすぐわかる感じの方がおられました。うろ覚えの実況解説によるとですが、この年は「ストリートファイターV」とは別タイトルに熱心だったようで、しかしながらこの年の調整における弱めのキャラとされる春麗で、持ち前の人間性能をいかんなく発揮して勝ち上がってきたと言いますから、やはりなんかすごいです。


そんなこともありますから、美菜原さんのような存在がまったく絶対にありえないとは断言できません。そこにはっきりリアリティを感じることができ、なおかつ「主人公の目標・仲間・ライバルとなれる位置」にいることができるヒロインなのですよね。この種類のヒロインは、今までだとたぶん音楽演奏系のまんがとかでしか成立しえなかったポジションだと思うのですが(浅薄な自分の知識です)、ゲームでなら男女関係なく対等であるという現実感のある設定を活かしきったヒロイン像であると思います。



あと、ゲーム好きヒロインだとめがねも説得力あってそれっぽい。委員長キャラというギャップを持たせてめがねの自然さをカバーする古味直志先生はやはりめがね好きで間違いない。というかうろ覚えですけど、「ニセコイ」に関して古味直志先生が好きだと公言してたキャラって宮本るりさんじゃないでしたっけ……都合よく改変された記憶かもしれない……。


(でも嬉しそうに国内大会開催の報をスマホで見せてくるコマでめがね描き忘れてるのは許さねえ………………!!!!!)



 ③美菜原さんについて



たぶん「ウメハラ」選手から名前取ってますよね。ウメハラがめがね美少女になる時代……いや違う……。

で、東大卒であったり、メディア進出に積極的で格闘ゲームの普及に熱心な「ときど」選手は確実にモデルとして参考にされてると思います。美菜原さんの動機付けがめちゃくちゃしっかりしていて、その辺を夕方の帰り際のシーンにおいて主人公との対比に用いてます。この辺は「プロはお気楽な遊びじゃない」とか、「笑ってコラえて」の特集のシメに用いられたコメントである「ゲームを通じて人は成長できるというのを導けるプレイヤーになれたらいい」というのに通ずるところがあると思います。




美菜原さん可愛い…………。


 ④ゲーミングハウス


近いものが存在してます。



この配信を行っているところが「TOPANGA」という企業の事務所で、ここで選手たちが集まって練習したりするみたいです。詳しくはあまり知らない……。


 おわりに



なんかまた長くなりましたが、とにかく自分にとってはそれくらい「連載にこぎつけてほしいもの」であると同時に、これが連載として始まったらまたe-Sportsとしての格闘ゲームが広まっていくのかなぁ……と思ったりしたところが強かったです。

連載にしてもきっとたくさんネタを持ってると思いますし(いま検索して古味直志先生がスマブラ猛者であることを知った)、きっといろんな楽しみを提示できる題材だと思います。いいぞもっとやれ。

まさに今、格闘ゲームがこれからもっと大きくなっていく途中、日本からジャンプで古味直志先生が描くことに意味があると思います。文中でも触れましたが、美菜原さんの存在にリアリティを感じることができるようになってきた時代がよ始まり、そのスタートとほぼ同じ時期に連載することに意味があると思います。切に……。

あとめがね(以下略



連載してくれ………………頼む………………。

(お読みいただきありがとうございました!)